乳がんの組織による分類について書いて
みました。
非浸潤がんというのはどういう状態の
がんを言うのでしょうか?
今回は乳がんの分類と、非浸潤がんに
ついて書いてあります。
目次
■乳がんの組織分類(引用)
1.非浸潤がん | |
---|---|
a.非浸潤性乳管がん(DCIS) | b.非浸潤性小葉がん(LCIS) |
2.浸潤がん | ||
---|---|---|
a.浸潤性乳管がん(IDC) | ||
a1.乳頭腺管がん | a2.充実腺管がん | a3.硬がん |
b.特殊型 | ||
b1.粘液がん | b2.髄様がん | b3.浸潤性小葉がん |
b4.腺様嚢胞がん | b5.扁平上皮がん | b6.紡錘細胞がん |
b7.アポクリンがん | b8.骨・軟骨化生を伴うがん | b9.管状がん |
b10.分泌がん | b11.浸潤性微小乳頭がん | b12.基質産生がん |
3.パジェット病 |
---|
この表を見てもわかるように、乳がんを
組織で分類すると、このようにたくさん
あります。
■非浸潤がん
非浸潤がんの分類について書いています。
非浸潤性乳管がん(DCIS)
非浸潤性乳管癌(DCIS)とは、乳管
の中にできた早期のがんのことです。乳管は赤ちゃんが産まれた時に出る
母乳の通り道で、乳房全体に張り巡
っていますが最後は乳頭に集まって
います。非浸潤性乳管癌は、正常な細胞が乳管の
中で変異してしまい、その固まりが徐々
に大きくなりがん化するイメージです。乳管の中にがんが留まっているので、
血管やリンパ管にがんが入り込むこと
はありません。つまり、転移は起こらないということ
です。脂肪やほかの組織に広がっていないので
「しこり」になっておらず、自分で触っ
ても発見は難しいようです。
非浸潤性小葉がん(LCIS)
非浸潤性小葉がんとは、乳腺組織の中の
小葉という部位に腫瘍細胞が見られる
状態です。非浸潤性小葉がんは、それ自体が治療を
要するがんに進展することは少なく、
前がん病変ではなく、将来乳がん発症の
リスクが高まるマーカーと考えられてい
ます。非浸潤性小葉がんがみつかった人は、
将来乳がんが発症するリスクが、1年
に約1%あると言われています。前がん病変ではなくマーカーと考えら
れるのは、乳がん発症のリスクが、
病変がみつかった側だけでなく、左右
の乳房で同程度であることがわかって
いるからです。しかも小葉がんだけでなく通常の乳管
がんのリスクも高くなります。20年経てば、約20%のリスクがあり
ますし、30年経てば約30%のリスク
を生じます。予防的にホルモン療法として*ノルバ
デックスを服用することや両側の乳房
を切除するという選択肢がありますが
前者には子宮体がんの発症リスクが増
える副作用があり、後者はあまり現実
的ではないと思います。定期的に検診を受けていれば、乳がん
が発症しても早期に発見されることが
多く、治療で治癒する確率が高いと考
えられます。
■非浸潤がんの特徴
非浸潤がんは、基本的に浸潤していない
ということなので、乳管や小葉から発生
したがん細胞がその場所に留まっています。
がん細胞が基底膜という膜を破って周囲
の組織に浸潤していないので、手術に
より完全に治すことができます。
本当の意味での早期がんといえます。
非浸潤がんの症状
- 小さな石灰化
- 小さなしこり
- 乳頭からの分泌液(血性の場合が多い)
- 乳頭や乳輪の治りにくい湿疹・びらん(ただれ)
ほとんどの場合は触ってわかるような
しこりすらないことが多いです。
非浸潤がんの治療
手術で切除することで完治の可能性が
高まります。
温存手術が行えるケースもあります。
腋窩リンパ節の切除は原則として不要と
考えられています。
治療の選択肢は多いので、どのような
治療を選択するかはドクターとよく話
し合って決めるといいでしょう。
■非浸潤性乳管がんの場合
石灰化病変が乳房の広範囲に広がって
いる場合
↓↓↓
乳房全切除
石灰化病変が一か所に集まっている
場合
↓↓↓
乳房温存
が一般的です。
■非浸潤性小葉がんの場合
このがんは浸潤がんの前触れという考え
方があり治療についての意見が分かれます。
手術などの治療を行わず経過観察するこ
ともありますが、両側の乳房に広がって
いることが多く、後々浸潤がんとして
発生する可能性を考えて予防的に両側の
乳房を切除するという考え方もあります。
■補助療法はあるの?
非浸潤がんは、乳房を全部とってしまっ
た場合は理論上は原則的に完治したこと
になります。
乳房を温存した場合は、残した乳腺に
局所再発が起こる場合を考えて補助療法
を行われることもあります。
その場合はホルモン療法が第一選択肢
となります。
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