「乳がん」と告知を受けたらショックです。
頭の中は真っ白、日常のなんでもないことすら正常な判断ができないくらいに動揺してしまうかもしれません。
でも、ショックを受けても今後の事を考えなくてはなりません。
いつまでも立ち止まっているわけにはいきませんものね。
それなのに「あわてないで」とは何事?
と思う方もたくさんいらっしゃるかもしれませんね。
「乳がん」と告知されたら、ショックなのはわかります。
しかし、あなたにとっては考えなければいけないことがあります。
今回は、告知されたら考えていくべきことについてお話ししたいと思います。
■乳がんは比較的進行のゆっくりながんです
他のがんに比べて「乳がん」は進行がゆっくりだと言われています。
ですので、告知を受けてから3日以内とか1週間以内に治療をはじめとするすべての事を決めてしまわなければならないというようなことはありません。
生検や細胞診のためにしこりに針を刺すと、がん細胞が他の場所に散らばったり、血液の中に流れて転移するおそれがあるので早めに手術したり治療したほうがいいかもと思われる人もいるかもしれませんが、この説には科学的な根拠も医学的な合理性もないようです。
特に早期がんの場合は1カ月ほど治療のスタートが遅れたからといっても大きな違いはないといわれます。
だからこそ考える時間がたっぷりあります。
告知を受けたショックも大きいと思いますが、少しでも早く平常心を取り戻して今後の最善と思われる生活のために落ち着いてじっくり考えましょう。
とはいっても診断結果が判れば早めに治療を開始したいと思うのも人情ですね。
■考えることは次の3つ
①治療のスケジュール
②治療を受ける病院と医師の選択
③治療の費用
乳がんの告知を受けると治療するためには仕事や家事も休まなくてはならなくなりますし、治療に必要な費用のことも考えなくてはなりません。
そして何より大切なのは自分自身が納得できる治療法の選択です。
もちろん、がんのタイプや進行の度合いによって、治療の選択肢は限られてきますし、患者さんの価値観や人生観や置かれた環境、経済的な背景によっても変わってきます。
私は、スケジュールも何も考えずに治療をどんどん早目早目に設定して、後で、(こうすればよかった)と後悔することも多かったです。
告知を受けたばかりでは、気持ちに余裕がないのは仕方ないことだと思います。
でも、ここでしっかり予定を立てて、自分で調整していけるようなら、治療へのストレスもずいぶん軽くなると思います。
①治療のスケジュール
治療のために仕事や家事、育児をどのくらいの期間休まなくてはならないのでしょうか?
乳がんの治療は入院・手術が基本ですが、その後も通院治療が必要になります。
ケースによっては手術の前に抗がん剤治療が行われます。
どちらにしても、手術して取り除いたがんの細胞を詳しい検査に出して、その結果が判ってから詳しい治療法が確定すると思いますし、その結果は手術後1~2週間かかります。
その後放射線治療やホルモン治療、抗がん剤治療が必要になるのが一般的ですが、このような治療もほとんど通院で行われます。
抗がん剤の副作用は個人差もありますが、倦怠感や吐き気などに悩まされる方も少なくありません。
事務系のお仕事ですぐに復帰できる方もいらっしゃると思いますが、私は休みを考えずにすぐ職場に復帰しようとして抗がん剤の一回目の投与のとき、すでにギブアップしてしまいました。
二回目からはしっかり副作用のことも考えて抗がん剤投与後すぐには休みを頂き、傷病手当を受け取れるように手続きしました。
副作用がひどくて、中には寝込んでしまう人もいるかもしれません。
こうした事を考えると入院も含め1カ月ぐらいの休暇を取り、通院治療の必要性や治療計画の変更の可能性についても、あらかじめ職場に話しておければ理想的だと思います。
家事についても、退院後すぐに以前と同じようにこなそうとせず、最初は家族に手助けしてもらうなどして徐々に体を慣らしていったほうがいいと思います。
私も家族、特に主人にはとても助けてもらいました。
私が治療を乗り切れたのは家族のおかげです。
治療で頭がいっぱいになり、心も不安やショックで充満している患者さんにとって、日常生活のこともすべて完璧にこなそうとするのはしんどいことだと思います。
周囲に甘えたり頼ったりしながら自分にとっても無理のない治療のスケジュールを組むようにした方がいいと思います。
助けてほしくても家族の方から適格にサポートを申し出てくれるとは限りません。
それは、あなた以上に「乳がん」についてのダメージを受け、気持ちがいっぱいいっぱいになってしまうからです。
こちらで助けを待っているより、
「○○してくれると助かるなあ。よろしくお願いします。」
と上手に甘えて、うまく治療を乗り切りましょう。
②治療を受ける病院と医師の選択
どの病院でどのような医師に治療してもらうかはとても大事なことです。
国によって事情は違いますが、日本の現状からすると乳腺外科医が診断、手術、治療計画をたてることがほとんどです。
日本乳がん学会が乳腺専門医の認定を行っており、基本的にはこうした専門医が常勤している病院で手術を行うことになります。
手術の技術もさることながら、こちらが疑問に思ったこと、不安に思うこと、質問すること、についてきちんと説明してくれることが医師との信頼関係を築く上でとても大切なことです。
それには患者であるこちら側もわからないことをうやむやにしたり、不安を抱えたままにするのではなくどんどん医師に質問していく姿勢も必要です。
・どんな治療法があるのか?
・治療の長所と短所はどんなことなのか?
・現在の標準治療はどんなものなのか?
・医師はどんな治療法がベストだと思っているのか?
などなど、あらかじめ紙に書いて行ってたずねるのも良い方法かもしれません。
医師に会うまでは聞きたいことがたくさんあっても、いざ診察となると思ったことの半分も言えないで診察終了ということもあります。
私の場合ですが、自分のための自分で決めていく治療だと思って受診することによって治療にも前向きになれました。
私なんて抗がん剤のお薬の値段の比較まで主治医に聞いてしまい、
「それは専門外だからちょっと待って」
と、その場で薬価を調べて大まかに計算してくださいました。
出来すぎた主治医ですよね。
もう一つ、セカンドオピニオンを快く認めてくれ、資料なども提供してくださる医師はいい医師だと個人的に思います。
かといって病院を転々と渡り歩いていくことは結局時間もかかり過ぎますし、現実的ではないように思います。
「あわてず」とは申しましたが、セカンドオピニオンなどは予約をとって、資料も今の病院で揃えてもらってと必要以上に時間がかかることです。
もし経験者に話を聞けるようでしたら「あの病院がいいよ」「あの先生がいいよ」とアドバイスを聞くこともよい治療環境を探す近道かもしれません。
③治療の費用
入院費用は、治療の方法や使う抗がん剤の種類、入院日数、差額ベッド代が必要な部屋にするかどうかなどによっても変わってきます。
平均的なところでは差額ベッド代がないお部屋で入院生活を送ると考えますと、手術をして1週間ぐらいの入院で60~70万円かかります。
実際は健康保険が適応されるため3割負担ならば20万円前後が患者さんの負担になります。
さらに高額医療費制度で自己負担限度額を超える医療費は還付されます。
事前に手続きをすれば最初から自己負担限度額を超える費用は補助を受けられます。
私は病院の受付で詳しく説明をしてもらいました。
ただし、高額医療費は月単位で計算されますので、入院が月をまたぐと適用されなくなる場合もありますのでご注意くださいね。
患者さんの中には一般の医療保険やがん保険に加入している人も多いと思いますが、通院治療が支払いの対象になるかどうかも事前に確認しておいたほうがいいかもしれません。
私は何の保険にも入っていなかったため、入院費用や通院費用、手術代がかなり家計を圧迫して大変な思いをしました。
■わからないことは聞きましょう
手術を受ける予定の病院では、金額や入院時に必要な物についてや、ベッド代、などの質問には大体答えてくれると思います。わからなければ聞くことが一番いいと思います。
後から
(こんなはずではなかった)
(ああしておけばよかった)
と後悔しないように。
私の入院にいたるまでの様子は次の通りでした。
何が何だかわからないうちに時間だけが過ぎていった感じです。
もっと色々考えておけばよかったと思います。
「告知」はとてもショックな出来事です。
そのショックから少しでも早く回復できると、次に何をしなければいいのかという事を考えられるようになると思います。
私の反省点でもあり、もっとじっくり考えておけばよかったと思うことの一つです。
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