標準治療と呼ばれる「抗がん剤治療」と「放射線治療」が終わって、心のどこかで、
(つらい治療はこれで終わりなんだ)
という安堵した気持ちがありました。
しかし、まさか次の治療を主治医から提案されようとは思いませんでした。
私の場合の追加治療の訳とその意味についてお話しします。
目次
■トリプルネガティブとは?
私の乳がんのタイプは「トリプルネガティブ」というものです。
トリプルネガティブ乳がんとは?
エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2の3つ(トリプル)が腫瘍細胞に発現していない(ネガティブ)乳がんのことを呼んでいます。
女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、それぞれの受容体が発現している乳がんの発生と増殖に関する因子であり、これらの受容体が発現している場合は、「ホルモン療法」が有効となります。
HER2はがん遺伝子で、HER2が発現している場合は抗HER2療法の効果が期待できます。
それに対して、「トリプルネガティブ乳がん」は、これらの因子とは全く関係のない発がんメカニズムを持つ乳がんですから、ホルモン療法もHER2を攻撃する分子標的薬も効かないのです。
医学用語は難しいですね!!
少しわかりやすく言うとこういうことです。
エストロゲンという細胞とプロゲステロンという細胞とHER2というがんの遺伝子の3つをトリプルと言ってます。
がん細胞に現れていないことをネガティブと言ってます。3つ(トリプル)が現れていない(ネガティブ)ので、「トリプルネガティブ」ということです。
エストロゲンとプロゲステロンという細胞が関わっているがんならばホルモン療法が使えるし、HER2というがんの遺伝子が関わっているがんならばそのHER2をたたいてくれるお薬を使える。
しかし「トリプルネガティブ」の乳がんは、どちらの療法も効果が期待できないみたいです。
乳がん全体の15~20%ぐらいの人がこの「トリプルネガティブ乳がん」の患者さんだと言われています。
■次の治療は?
2種類の抗がん剤治療が済み放射線治療が済んだ私は正直ホッとしていました。
ですので、放射線治療がすべて終わったあと、主治医の診察を受けたときは(やっと終わった)という開放感でいっぱいでした。
■そんな私に不意打ちが!!
ドクターから「次は抗がん剤をやりましょう!」と笑顔で切り出されました。
その時に浮かんだ思いは、抗がん剤で味わった数々の副作用の苦しみでした。
頭が真っ白になるってこういうことかと少ししてから感じたものです。
■まさに「晴天の霹靂」です。
たぶん私の顔に思いっきり「嫌だ」という感情が出たのだとおもいます。
ドクターは
「大丈夫、副作用はほとんどないものだし、口から飲むお薬だから」
とおっしゃいます。
私が返事に困っていますと
「ついでにホルモンのお薬も飲みましょう」
とダブルパンチです。
私のがんは「トリプルネガティブ」なのになぜ「ホルモン」療法???この事に関してはこちらの記事で紹介しています。
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ドクターがおっしゃるには、私の乳がんに関して言えば女性ホルモンの値はマイナスはマイナスでも全くのゼロではなかったとのこと。
一通り治療が終わったので、無治療期間(何も治療をしない)にするよりも少しでも可能性のあることはやりたい。との説明でした。
患者の私よりも積極的で熱心なドクターです。
いいドクターに出会えたと思います。
しかし、正直なところ自分でも色々調べていましたので、2種類の抗がん剤と放射線治療が終わった段階で「トリプルネガティブ」の私にはもう治療はないんだと思い込んでどこかでホッとしていました。
ですので次の治療と聞いたときには、
(がんばるぞ~)
という気持より
(え~?まだ何かするの?)
などと思ってしまいました。
ドクターごめんなさい。
家族としては「まだやれる治療がある」ことの方が安心だったみたいです。
■主治医の考え
ドクターは自分なりの考えを話してくださいました。
一般的に「トリプルネガティブ」の乳がんは 予後が悪いと言われています。
確かに予後が悪いものもありますが、 そうでない「トリプルネガティブ」乳がんも あるんですよ。
この「トリプルネガティブ」の乳がんは再発・ 転移の可能性が他のタイプの乳がんより高く、 早いうちにおこりうる。 自分としてはその目安を3年とみている。 逆に言えば3年間再発も転移もなければ、 大人しいタイプの「トリプルネガティブ」 かもしれない。 だから治療が一通り済んだとは言っても、 手術してから3年経つまでは何かしら 治療を継続していきたい。
そこで、日常生活に支障がないようなお薬(抗がん剤)を考えて、昔からあるお薬で副作用も少なく続けやすいものをとチョイスしてくださいました。
■経口抗がん剤 5FU
5FU(フルオロウラシル)というお薬は昔から使われていた経口の抗がん剤です。
私が服用したのは、5FUの改良型のUFTというものです。このお薬の使われ方とメリットは?
UFTの使われ方とメリット
再発・転移乳がんの治療に使われることが多いお薬です。
抗がん剤のAC療法やタキサン系の抗がん剤が効かなくなったり、耐性ができた時に使用されることが多いようです。
この抗がん剤は女性に優しくて髪が抜けません。
副作用も人それぞれですが、私はほとんど何もつらいことがなくて、
(本当に抗がん剤なの?)
と疑問に思うくらいでした。
大量の抗がん剤や強いお薬を一度に投与して、がんをたたくのではなく、少量のお薬を繰り返し投与し続けることによって、ゆっくり長く効かせ、がんの増殖を先延ばしにする治療に使われるようです。
「トリプルネガティブ」タイプのがんには適しているのでしょうね。
これを2年間飲み続けました。
これに「ホルモン」の治療が加わります。
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