妊娠したその日から、赤ちゃんに会える日が待ち遠しくて、ワクワクしますね。
その反面、妊娠初期では「流産」、妊娠中期以降では「早産」の不安が絶えずつきまとうものです。
よほどのことがない限りはほとんどの妊婦さんは出産まで何事もなくたどり着きます。
でも、初めて妊娠を経験するあなたにとって、
よほどのこと
が何なのか、判断しようにもわかりませんよね。
そんなあなたが不安になる流産や早産の危険性についてお話ししたいと思います。
目次
■流産と早産の違い
まず、流産と早産の違いですが、妊娠週数によって変わってきます。
妊娠21週6日までを「流産」といい、
妊娠22週0日からを「早産」といいます。
「流産」の場合は赤ちゃんは助かりません。
しかし、「早産」の場合は赤ちゃんが母体から外に出ても生命を維持できるかもしれないギリギリのラインなのです。
流産や早産の前に「切迫(せっぱく)」とつく場合はどういうことかと言いますと、危険性がある、その状態になりかけているという意味です。
「流産」は赤ちゃんが出てしまった状態を言いますが、「切迫流産」は流産しかけている状態、流産の危険を抱えている状態を言います。
ですので、「切迫流産」という診断がついても、まだお腹の赤ちゃんは亡くなっているわけではないこともあります。
診断名に「流産」や「早産」と付くと、物凄く不安になると思いますが、ドクターのいいつけを守って、生活の中で安静にするなどで赤ちゃんの生命を維持できることもありますので、むやみに心配し過ぎないようにしてくださいね。
流産の危険性がある病気や症状
出血、下腹部の痛み、生理痛のような痛み、などがあります。
初期の流産の場合は、ほとんどがお腹の赤ちゃん自体に原因があります。
何らかの染色体異常があって、成長できないとか、生まれても長く生きられないなどの可能性があり、妊娠したときから運命が決まっていることがほとんどです。
初めての妊娠で流産となってしまうと、お母さんはとても悲しくて、やりきれず、苦しい思いになるでしょう。
自分のせいかもしれないと自分自身を責めてしまいます。
でも、あなたのせいではありませんよ。
もう、決まっていたことなのです。
早産の危険性がある病気や症状
切迫早産になる可能性が高いものに次の2つがあります。
- 子宮頸管無力症
- 絨毛膜用膜炎
です。子宮頸管無力症は妊娠してからの不正出血についての項目でお話ししていますので、参考にどうぞ
👇
子宮頸管無力症ってどんな病気?手術が必要なの?繰り返すって本当?
もう一つの「絨毛膜用膜炎」というのはどういう病気でしょうか?
(絨毛膜用膜炎)じゅうもうまくようまくえん
早産の原因の20~30%を占めるもので、一番多いとされています。
細菌の感染によって早産を引き起こします。
妊娠初期に、膣の自浄作用が低下すること、妊婦の歯肉炎、セックスによって、感染します。
膣の自浄作用の低下というのは、
膣には身体の中に入ってくる細菌をやっつけるための善玉菌がいて、自分自身の力で悪い細菌を身体の外に排除しようとする働きがあります。
その作用が何かしらの原因で低下したために、悪い菌が増えてしまい、それが、膣や子宮の中で炎症を起こしてそれが広がり、絨毛膜と羊膜という赤ちゃんや羊水が入っている袋の膜を形成している膜に感染するという病気です。
この病気は進行すると、早産につながる怖いものですが、早期に治療すれば問題ありません。
あなたにできることは、
毎回の妊婦検診をきちんと受けて、早産につながる症状がないかを診察してもらうことと、歯肉炎がある場合は安定期に入ってから、きちんと治療をしてもらうことです。
そしてパートナーとセックスするときには、感染症の予防のためにコンドームを使用してもらうことも大切です。
この他にも、
「妊娠高血圧症候群」
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妊娠高血圧症候群と言えば「高血圧」「むくみ」「タンパク尿」の3大症状。この病気の治療法は?
「前置胎盤」
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などもありますし、
高齢、喫煙者、多胎妊娠、羊水過多や羊水過少、子宮筋腫や子宮異常、逆子、ストレス、遺伝、歯周病なども原因の一つになりえます。
心臓病、腎臓病、糖尿病などの合併症がある場合も早産の原因になります。
こうして考えると、たくさんの可能性があることがわかります。
それを一つ一つ心配していたら身がもちませんね。
どんな場合も「早産」の危険性がゼロということはないですから、心配し過ぎることはあなたの身体にもよくないです。
それよりも、毎回の妊婦検診できちんと異常がないかを診てもらって、普段から自分の身体に気になる変化がないかをチェックしておくことが大切ですね。
■妊娠中の安定期
つわりが治まって安定期に入れば・・・
このような言葉をよく耳にします。
安定期ってあるのでしょうか?
もしあるとしたら、妊娠何週からを指すのでしょう?
妊婦さん達の間で話題になる「安定期」についてお話しします。
安定期の定義
妊娠中の安定期は流産や早産の危険性がない時期ということではありません。
あなたをがっかりさせてしまうかもしれませんが、妊娠中に安全な時期というものは基本的にはありません。
妊娠中の心の安定や安心は、お母さんの生活の仕方や気持ちの持ち方によって、生み出されるものなのです。
では、一般的に安定期と呼ばれているものはどういう時期のことを指すのでしょうか?
この時期の特徴は2つあります。
一つは、「つわりが落ち着く時期」のことです。
もう一つは、「胎盤が完成する時期」のことです。
安定期っていつ?
一般的には、妊娠5か月(16週)以降から妊娠7か月(27週)までを言います。
その理由については先にお話ししたように、
「つわりが治まる時期」と「胎盤が完成する時期」の区切りにあたるからです。
妊娠中の夫婦生活について
気になるけどなかなか聞けない悩みの一つに妊娠中の夫婦生活があります。
妊娠中の夫婦生活は「流産」や「早産」を引き起こしてしまうのではないかと心配になりますね。
ドクターから
「安静にしてください」
と言われたり、出血があったりなどの気になる症状がなければ、基本的に何の心配もありません。
もし、過去に流産や切迫流産、早産や切迫早産になったことがある、現在その可能性を指摘されている、前置胎盤だと言われているなどの時には控えたほうがいいでしょう。
しかし、順調に妊娠が経過している場合には特に問題はありません。
夫婦間のスキンシップはお互いの愛情を高めるのにも、妊娠中の女性の精神面の安定をもたらすのにも大切なことです。
お互いを思いやりながらであれば、とてもいいことだと私は思います。
ただ、妊娠初期では、感染症の危険を考えてコンドームの使用をおすすめします。
それと、妊娠32週ぐらいからは子宮の収縮が早産につながる可能性もあるので、夫婦生活も控えてもらったほうがよいかもしれません。
それ以外の週数での中で、もしお腹が張るなどしたときには、少し様子を見てもらい、張りが治まるようなら問題ないと思われます。
産婦人科ではこういう相談も受けています。
お産の専門家ですので、不安なことをそのままにしないで、相談されることをおすすめします。
医療の現場は個人的な内容についての「守秘義務」がある所です。
せっかく妊婦検診などで、何回も受診するのですから、あなたの心配事も一つ一つ解決できる場になるといいですね。
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