妊娠中の出血って不安になりますよね。
妊娠中に出血することって、ほとんどないように思えて、意外にあるんです。
今回は、その中の一つの病気である
「前置胎盤」
についてお話しします。
目次
■前置胎盤ってあまり聞きなれないけど・・・何?
前置胎盤。
これは、胎盤の位置によって正常か正常でないか変わってきます。
胎盤と子宮口の位置関係
子宮の入り口である子宮口と胎盤の位置によって、正常なものと正常でないものがあります。
下の図でご説明します。
A 正常
図で見る上部の方を子宮底部といいますが、通常では、子宮底部のどこかに着床して、そこで胎盤が大きくなります。
正常な場合であれば、子宮口から胎盤の位置は離れています。
B 低置胎盤
胎盤の位置が低い位置にあるものを言います。
前置胎盤と違うのは、胎盤が子宮口に近い位置にあるとはいえ、子宮口にかかっているわけではないということです。
子宮口から2cm以内の位置にあります。
子宮口にかかっていたり、子宮口を完全に覆っている「前置胎盤」よりはお産のリスクは低いです。
しかしながら、胎盤と子宮口の位置関係が近いほど、出産時に胎盤からの出血が多くなりますので、場合によっては、赤ちゃんの命に危険が及ぶこともあります。
また、子宮口付近に胎盤があると、生まれてくるときに赤ちゃんの頭がうまく出て来なくて、お産が長引き、緊急帝王切開になってしまうこともあります。
妊娠週数がまだ早く子宮が成長しきっていない時ならば、子宮が大きく成長することで、胎盤の位置が子宮口から離れて行く可能性もあります。
ですので、ドクターにはっきり「前置胎盤」だと言われない限りは、検診の度に様子をみていくことで大丈夫だと思います。
C 辺縁前置胎盤
子宮口に胎盤の端っこがかかっているものです。
前置胎盤の中でも軽症です。
D 部分(一部)前置胎盤
胎盤が子宮口の一部分をふさいでいるものです。
E 全前置胎盤
胎盤が完全に子宮口をふさいでいます。
C、D、E、は3つとも「前置胎盤」ですが、胎盤が子宮口にかかる状態によって変わってきます。
前置胎盤になりやすい人は?
- 初産婦よりは経産婦のほうが多い
- 帝王切開をしたことがある人
- 人口妊娠中絶の経験がある人
- 子宮に関する手術を行ったことがある人
- 双子や三つ子などの多胎妊娠をしたことある人
- 胎盤の形態異常がある人
- 喫煙者
- 高齢出産であること
- 過去にも前置胎盤になったことがある人
妊娠や出産、手術などによって、子宮の内側の内膜に炎症が起こる、固くなるなどの状態が生じて、きちんと着床できる部分が減るので子宮の下の方(子宮口に近い部分)に着床が起こりやすくなるために前置胎盤の可能性が高くなるのです。
前置胎盤の症状は?
妊娠中に起こる痛みを伴わない突然の出血です。
最初に少ない量の出血があり、その後に大量出血が起こる可能性があります。
どうやって、前置胎盤がわかる?
エコー診断が確実な判断方法です。
「内診」では、ドクターの指が胎盤の裏側をこすってしまって大出血してしまう可能性があるので、行われません。
妊娠の週数が早すぎると胎盤の位置がずれて行く可能性があるため、妊娠21~24週以降まで待ってからエコーで確認します。
どんな治療をするの?
出血があれば入院管理となります。
安静にして、子宮収縮を抑える薬を使って出血を防ぎます。
出血がない場合は外来管理ですみますが、いつ出血が起こるかわからないのでいつでも入院できる準備は必要ですね。
たとえ出血がなかったとしても、妊娠30週頃には安静目的で入院管理を行うことが多いです。
お産は大丈夫?
前置胎盤ですと、妊娠中に限らず、出産時も出産後も出血が多かったり、いつまでも出血が止まらないなどのリスクがつきまといます。
ですが、早目に診断を受けて、安静にしたり、入院したりとドクター始め、医療スタッフ全員があなたのサポートを行うために全力であたってくれますので、言われたことは守って、おまかせしましょう。
前置胎盤の中には経腟分娩ができる程度の軽いものもあります。
一人一人の症状や妊娠の経過、出産環境などすべてのことを考慮したうえでドクターが判断しますので、下からお産ができなくても、帝王切開という方法があるので必要以上に心配し過ぎて気持ちのうえで落ち込み過ぎないようにしてくださいね。
お産のときに出血のことを考えて、あらかじめ、あなた自身の血液を輸血用に取り置くこともあります。
お産の流れによっては、出血が止まらず、母体にも危険が及ぶことも絶対ないとは限りませんので、子宮を摘出してしまわなくてはならなくなることもあります。
心配しないでくださいね
少し怖い内容ばかりお話ししてしまいましたが、入院になっても、帝王切開になっても無事に赤ちゃんを産んでお母さんになった方々は大勢いらっしゃいますよ。
もし、あなたが前置胎盤と言われたなら、安静にして出血に気をつける生活を送ってくださいね。
あなたのお腹の赤ちゃんも、お母さんに会える日を楽しみに待っているはずです。
ドクターのいいつけを守って、普段から自分の身体の声に耳を傾けてあげれば大丈夫ですよ。
無理しないでくださいね。
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