女性の悩みに多い「貧血」。
疲れやすい、身体がだるい、動悸や息切れが頻繁に起こる、などの症状に始まり、毎日職場や家事をこなす中でやる気が起きないなどの精神的ダメージにもつながってしまう病気です。
女性に多い(というより、貧血全体で70%~90%と言われる)貧血が「鉄欠乏性貧血」ですが、
他にも貧血ってあるの?
って疑問に思いますよね。
あるんです。
貧血にはいくつかの種類が存在するんです。
今回は「鉄欠乏性貧血」以外の貧血についてお話ししますね。
目次
■貧血といっても、種類や原因は様々
貧血には数多くの種類があります。
原因も様々です。
どんな貧血があるのでしょうか?
鉄欠乏性貧血
貧血で圧倒的に多いのが「鉄欠乏性貧血」だとお話ししました。
それについては、こちらをどうぞ
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女性に多い貧血は「鉄欠乏性貧血」です。目まいや息切れはありませんか?とれない疲労感は要注意です。
鉄欠乏性貧血って悪性の貧血なの?わかりやすいしくみと女性に多い理由。妊婦さん、ダイエット中の女性必見です。
今回は、「鉄欠乏性貧血」以外の貧血についてお話ししようと思います。
貧血という言葉はよく聞くものの、種類がいくつもあるなんて意外と知られていないようです。
中には重大な病気が隠れているものもありますので注意が必要です。
失血性貧血
大量の出血によって起こる貧血です。
出血のもとになっている症状や病気をきちんと治すことで治癒します。
失血性貧血には急性のものと慢性のものがあります。
(急性のもの)
手術、けが、出産、血管破裂など、突然血が失われることによって起こるものです。
一度に大量の血液が失われると命をおびやかす事態になります。
「血圧が低下する」「体内に酸素が行き渡らない」
などの症状が、
心臓発作、脳卒中などを引き起こし、死亡の原因になります。
症状としては、血圧が急速に低下するために、目まいが起こりやすいです。
(慢性のもの)
鼻血や痔の出血など、見た目で判断できるものは分かりますが、胃潰瘍や便に混じっての出血(便潜血)などはわかりにくいです。
女性に多いのは「過多月経」や「子宮筋腫」などもその一つです。
慢性のものは、長時間にわたって、少しづつ出血していくので自覚症状がないこともあります。
症状としては、疲労感や息切れが起こったり、顔色が青白くあることもあります。
この場合は、原因となる病気を早く治療することで貧血も改善されます。
続発性貧血
骨髄や赤血球などの血液の病気以外で起こる貧血です。
「二次性貧血(にじせいひんけつ)」ともいいます。
原因としては、
感染症、慢性関節リウマチ、膠原病(こうげんびょう)、悪性疾患、腎疾患、肝疾患、内分泌疾患、消化器疾患によるものがあります。
色々な病気をすることで「貧血」が起こるということがみえてきますね。
「貧血」はたかが「貧血」とあなどってはいけませんね。
慢性関節リウマチは痛み止めの服用などで胃があれることも原因の一つです。
慢性関節リウマチの症状を抑えるために、痛み止めを飲む。
その副作用として胃が荒れる。
その結果胃潰瘍を起こすことがある。
その胃潰瘍で出血し、鉄欠乏性貧血になります。
鉄があってもうまく使えない、赤血球が壊れやすい、きちんと造れないなどの原因も含めて貧血につながるようです。
膠原病の原因も慢性関節リウマチと同様であると考えられています。
慢性関節リウマチと膠原病はもともとの病気に対する治療を行うのが先決です。
病気の改善に伴い貧血の症状もよくなりますが、完全には正常にならないのが一般的です。
鉄欠乏性貧血を合併している場合は鉄剤を服用します。
悪性疾患(がんなど)によるものでは、胃がんや大腸がんなどの消化器系からの出血で鉄欠乏性貧血が起こるものです。
出血がなくても、がんが進行することでも貧血は起こります。
がん細胞が身体の組織を破壊していくと、鉄がうまく使われなくなるので貧血になりやすくなります。
がん細胞が骨髄に転移すると貧血がひどくなります。
抗がん剤治療などの化学療法を行っているときにも貧血症状になります。
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腎疾患で起こる貧血のことを「腎性貧血」と言います。
慢性に経過するすべての腎臓病を慢性腎臓病(CKD)といい、新たな国民病ともいわれています。
この病気は生活習慣病やメタボリックシンドロームとの関連性も深いため、誰にでも起こりうる病気の一つと言えます。
このCKDが進行することによって貧血が起こります。
腎性貧血の場合には病気が進行すると末期腎不全になる可能性も高くなりますし、心臓のはたらきにも悪影響を及ばします。
腎性貧血の場合は鉄剤を服用するだけでは改善しませんので、きちんと診断を受けたら適切な治療法を受けることが大切です。
腎性貧血と関わりの深い病気に糖尿病などもあります。
糖尿病が進行する中で合併症を引き起こしやすいのが腎臓です。
その時に腎性貧血になるのです。
通常の貧血の症状だけでなく、皮膚の痒みが出たり、頭が重い感じがします。
糖尿病の治療をしっかり行うことが大切です。
糖尿病の人の貧血治療はサプリメントや薬が使えないこともあるので、食事の中で鉄分を多く含む食べ物での食事療法によって行われます。
しかし、たくさんの食材を摂り過ぎると糖尿病の治療に支障が出ますので、専門家の指示に従って行うことが重要です。
肝疾患や消化器疾患でも貧血症状が現れます。
肝炎や肝硬変、肝がん、胃、十二指腸潰瘍や消化器のがんなどでも病変からの出血があったりします。
また、貧血の原因を調べているときに潰瘍やがん細胞が見つかることもあるので、貧血症状をほったらかしにしないほうがいいです。
肝臓病で骨髄の造血機能がうまく働かなくて、赤血球が壊れやすい場合も貧血につながります。
この場合は病気の治療に専念することが一番で、貧血については経過観察の場合が多いです。
内分泌疾患の場合にも貧血を伴う病気があります。
甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症、下垂体機能低下症、副甲状腺機能亢進症などです。
病気を放置すると、貧血や不整脈などの症状が出て心臓への負担も大きくなってしまいますので、病気の治療に専念していくことが大切です。
再生不良性貧血
再生不良性貧血が鉄欠乏性貧血や悪性貧血と大きく異なるのは、原因です。
鉄欠乏性貧血や悪性貧血は血液を造るための材料が足りなくなることが原因なのに比べて、再生不良性貧血は骨髄という血液を作る場所自体の問題で貧血が起こります。
血液をつくる骨髄が脂肪に置き換わり、赤血球も白血球も血小板も作らなくなってしまう病気です。一般症状に加えて、皮膚や歯茎から出血しやすくなったり、あざができやすい、注射などの後の出血がなかなか止まらなくなるという症状が見られます。血尿や血便が出ることもあります。
また、悪化すると発熱や喉の痛みなど風邪に似た症状も表れます。発熱した場合、入院しての治療が必要です。骨髄移植や輸血などを行います。
溶血性貧血
赤血球が破壊されることで起こる貧血です。
赤血球は120日程度活動してまた新しいものに生まれ変わるのが普通です。
しかし、この病気では赤血球の寿命が短くなることで、血液を造る能力が追い付かないため、赤血球不足で貧血になるものなのです。
とても珍しい症例ですが、10代、20代の若い人や70代以上の方に見られます。男女どちらでも起こりうる病気です。
普通の貧血症状と同じようにだるさや動悸、息切れ、めまい、頭痛などもありますが、この病気特有の症状もあります。
壊れた赤血球の成分が皮膚に沈着して起こる黄疸のせいで、皮膚が黄色くみえることと、ヘモグロビン尿と言われる、茶褐色のおしっこが出ます。
悪性貧血(巨赤芽球性貧血)・・ビタミンB12欠乏性貧血・葉酸欠乏性貧血
ビタミンB12あるいは葉酸の欠乏によって、血液の成分が正常に作られなくなったり、巨大な赤血球ができてしまうことで貧血になります。
赤血球だけでなく、白血球や血小板にも影響があるため、血液の成分のすべての血球が少なくなってしまいます。
一般的な貧血の症状に加えて、舌の表面がつるつるになって味覚障害が起こり、食欲不振、白髪などの症状もみられます。
また、ビタミンB12の欠乏で、
手足のしびれ
歩行障害
興奮や軽い意識の混濁などの精神症状
葉酸の欠乏で、
筋肉の萎縮
下痢
が起こることがあるので、注意が必要です。
ビタミンB12の摂取不足でも起こりますが、胃腸の切除術などによって、ビタミンB12をうまく吸収できないことでも起こります。
葉酸は妊娠、溶血性貧血、炎症、白血病、がんなどによって、欠乏しやすいものです。
慢性アルコール中毒の人は小腸での葉酸吸収が邪魔されて巨赤芽球性貧血の原因になります。
極端なベジタリアンでなければビタミンB12の不足はないくらい摂取しやすい栄養素です。
うまく吸収されていない場合などは筋肉注射でビタミンB12を身体の中に入れてあげます。
葉酸の場合は定期的な注射とお薬を飲むことで一か月程度で治るものです。
■様々な病気と関係する貧血
貧血の中には大きな病気が隠れている場合があります。
「貧血」と軽くとらえてはいけないこともあります。
日常に潜む貧血
貧血は誰もが感じる
「疲れやすい」
「息切れ」
「頭痛」
などの症状からスタートすることが多いと思います。
貧血の症状は、ゆるやかに現れることが多く、生活していくうちに少しずつ不調な症状にも慣れてしまいます。
この慣れてしまうことが怖いことです。
人は慣れてしまうと、それが普通だと勘違いしてしまい、特に問題視しようとしなくなります。
それで、ほったらかしにした挙句に、症状や病気が進行していたという事態になりかねません。
特に貧血が一番負担をかける臓器は心臓です。
ですので放っておくと命にもかかわってしまいます。
何かの健康診断などで血液検査を受けた場合はほとんど「貧血」かどうかがわかる血液の数値も検査の中に入っています。
血液検査の機会があまりない人は日頃の生活の中で疲れやすいという症状や息切れ、目まいを感じるかどうか目安にしてください。
何もなければ心配ないことです。
しかし、少しでもおかしいと思う症状があれば早めに医療機関を受診して、不調に感じる原因をつきとめましょう。
それでもし、何かしらの病気が発覚したら、治療に専念して、少しでも早く健康な身体を取り戻しましょう。
何も病気がなかったなら、それは一番すてきなことです。
今日も元気で健康に過ごせることを喜び、一日一日の疲れをその日のうちの取り除けるように労わってあげる生活を送りましょう。
私も「乳がん」という大病を患いました。
今日、普通に起きて、生活して、自分の足で歩いて、ご飯を美味しく食べることができる。
そのことが嬉しいです。
病は突然やってくるものかもしれません。
しかし、あなたの日頃の生活習慣や、気持ちの持ち方で、軽い症状や初期の段階で食い止められるものだってあります。
日々、自分自身を大切にしてくださいね。
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