味覚障害って変な副作用です。
苦しかったり、辛かったり、痛かったりする訳ではないのに、生活の中では困ってしまうことが多いです。
もし、あなたが主婦だったら特にそうですよね。
目次
■味覚障害について
人には味覚があります。
味覚とは、動物の五感の一つであり、食べるものによって認識される感覚です。
甘味、酸味、塩味、苦み、うま味の5種類があります。
味覚障害とはどういうもの?
- 味がしない
- 味を違って感じる
- 味に過敏になる
- 舌の片側だけしか味を感じない
などの異常がある。
原因となる病気にはどんなものがあるのか?
- 糖尿病
- 妊娠
- 唾液分泌不全(ドライマウス、シェーグレン症候群)
- 高血圧症
- ビタミン欠乏症
- 消化器疾患
- 亜鉛欠乏症
- 放射線障害
- 薬物の副作用
- 中枢神経の異常
- 心因性疾患(ストレスなど)
■味覚障害になるメカニズム
味覚を感じるまでの流れは次の通りです。
味蕾→唾液→神経
食べ物が口の中に入ると舌の表面にある味蕾と呼ばれる味のセンサーが味覚として感知。味蕾が味を感知する際に水分が必要とされます。その役割が唾液です。
味蕾で完治された味の信号は「舌咽神経」や「鼓索神経」を通じて脳に送られ味として感じられるのです。
味蕾、唾液、神経のいずれかががん治療の副作用によってダメージを受けることで味覚障害になるということです。
■乳がんで起こる味覚障害
乳がんの場合は次のような治療によっても味覚障害が出てきます。
放射線障害
放射線治療によって起こる味覚障害は唾液腺に影響を及ぼすことが原因です。
薬物の副作用について
抗がん剤治療は味蕾の細胞や神経に影響を及ぼすことが原因です。
味覚障害を起こしやすい薬物一覧(引用)
商品名(一般名) | |
---|---|
抗がん剤 | エンドキサン等(シクロフォスファミド) |
タキソテール(ドセタキセル) | |
タキソール(パクリタキセル) | |
カンプト、トポテシン(イリノテカン) | |
オンコビン(ビンクリスチン) | |
ゼローダ(カペシタビン) | |
UFT(テガフール・ウラシル) | |
5-FU(フルオロウラシル) | |
TS-1 (テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム) |
|
エルプラット(オキサリプラチン) | |
ブリプラチン、ランダ等(シスプラチン) | |
パラプラチン(カルボプラチン) | |
ホルモン剤 | アフェマ(塩酸ファドロゾール水和物) |
アロマシン(エキセメスタン) | |
リュープリン(酢酸リュープロレリン) | |
解毒剤 | アイソボリン(レボホリナートカルシウム) |
催眠鎮静剤 | メイラックス(ロフラゼブ酸エチル) |
解熱鎮痛剤 | ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム) |
医療用麻薬 | オキシコンチン(塩酸オキシコドン) |
■私の味覚障害について
私が体験した味覚障害についてお話しします。
いつから始まったのか私の味覚障害
(私が味覚障害なのかな?)
と自分で感じたのは、抗がん剤AC療法を始めてしばらくしてからでした。
抗がん剤AC療法の重大な副作用である「吐き気」に悩まされている最中でした。食事も満足にとれないせいで食べ物の味にまで気をまわす余裕がなかったのでいつから味覚障害だったのかは、はっきり覚えていません。
何となく味覚がおかしいなあという程度で、気にも留めていませんでした。今思えば(おかしいなあ)と思ったこの時が味覚障害の始まりだったのですね。
味覚障害を感じるときの感覚
- 味がまったく感じられない
- 食べたものが砂をかむような味
- 金属の味がする
- 塩気を感じない
- 甘さがわからない
などの自覚症状で一般的には「味覚障害」だとわかるようです。
私の場合は塩気がしょっぱいだけでなく、薬の苦いような味に思えて、しょっぱいはずの食べ物が全て苦く感じました。
ですのでこの頃は、ご飯がまずいという思いしかありませんでした。
自分だけなら我慢すればすむことなのかもしれませんが、主婦で料理を作る者としては大いに困りました。
微妙な塩加減がわからず、苦みを感じないところまで味付けをすると、とんでもなくしょっぱい料理が完成するはめになりました。
美味しく食べられない私よりも、被害を被ったのは家族のほうでしょうね。
甘味はなんとか大丈夫でしたが、今度は今まで好きだった甘い物が全然欲しくなくなり、逆に気持ち悪いとさえ感じる始末です。
味覚障害とうまくつき合う
料理は最後の味見を主人や娘にお願いしながら微調整して作っていました。
時々は市販のお惣菜なども利用して、失敗のない食卓になるように考えました。
味覚障害は抗がん剤治療がすんでしばらくすれば元の正常な状態に戻るはずですので、あまり落ち込まず、自分も休めるいい機会だと開き治りましょう。
ご主人やお子様、ご家族に手伝ってもらいながら、料理したり、市販のものや出前、外食の利用なども少しは取り入れていってもいいかなと思います。
味覚障害になって思ったこと
食事を美味しく食べられるということは、とても有り難いことなのだなと思いました。
日頃、辛いものを辛い、甘いものを甘いなどと感じられることにもっと感謝していかなければと強く思いました。
しかし人とは「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺があるように、今では感謝の気持ちも薄らいでいることを反省です。
口内炎にしろ、味覚障害にしろ、食にかかわる機能がダメージを受けると治療にも前向きに取り組めなくなってしまいそうですね。
しかし、永遠に続く訳ではありません。
しばらくの辛抱ですので、家族に副作用のことをよく理解してもらい、上手に甘えて、治療を乗り切っていって欲しいと思います。
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